国鉄万字線

JNR Manji Line

国鉄万字線 23.8km: 志文; 上志文; 朝日; 美流渡; 万字; 万字炭山

万字線は、空知一帯で炭鉱開発に勤しんだ北炭こと北海道炭礦鉄道が、幌向川の上流に拓いた万字炭鉱の運炭を目的に建設された路線です。北炭は万字炭鉱の開鉱とともに鉄道を敷設しようと1905(明治38)年には自ら実地測量まで行いましたが、1906(明治39)年施行の鉄道国有法に阻まれて計画は立ち消えとなります。万字炭鉱から掘り出された石炭は索道で夕張に運ばれ、北炭が1892(明治25)年に開通させた夕張線(幌内鉄道等とともに1906年国有化)で搬出されました。しかし、搬出が出炭増のネックとなり、馬車軌道に先立つ万字道路の開通で幌向川沿いに入植が進んだこともあって、木材や農産物の輸送上からも鉄道の敷設は不可欠として、請願書が関係各所に1910(明治43)年1月提出されます。

屈曲の激しい幌向川に沿う万字線は、高い築堤と深い切り通しの繰り返しで、工事は困難を極めました。13カ所に架けられた橋梁はいずれも高さが求められ、特にポンポロムイ川橋梁は河床から24.8mと高く架けられました。ここでもタコ部屋が設けられて、数十人が死亡したと記録されています。

駆け足で眺めた尻すぼみの記録ですが、紹介します。

万字線の略史

西暦	元号	月	日	できごと
1903	明治36			開鉱北炭万字炭鉱(北炭夕張第一炭坑万字坑派出所)
1905	明治38			採炭開始北炭万字炭鉱索道で夕張へ送炭
1907	明治40			開通万字馬車軌道志文－滝の上
1909	明治42	12		萬字鉄道期成町民大会が岩見沢町で開催される
1912	明治45	7		万字線の実地測量が始まる
	明治末期			開鉱朝日炭鉱
1913	大正2	4		着工万字線
1913	大正2			買収北炭は三井財閥の傘下に
1914	大正3			北炭幌内鉱業所万字炭坑として独立
1914	大正3	11	11	開業万字軽便鉄道志文－上志文－美流渡－万字 +22.3km
1914	大正3	11	11	開業万字軽便鉄道万字－万字炭山(貨) +1.5km
1918	大正7			開鉱北炭美流渡炭鉱
1919	大正8	11	11	開業朝日駅上志文－美流渡
1922	大正11	9	2	改軌万字軽便線→万字線
1924	大正13	9	1	開始旅客営業万字－万字炭山計23.8km
1966	昭和41			閉鉱北炭美流渡炭鉱
1967	昭和42	10		廃止北星炭鑛美流渡専用鉄道 -2.8km
1974	昭和49			閉鉱朝日炭鉱
1976	昭和51	12		閉鉱北炭万字炭鉱
1978	昭和53	5	1	廃止貨物営業
1981	昭和56	6	10	国鉄再建法による第一次対象路線に選定される
1985	昭和60	4	1	廃止全線 -23.8km

朝日駅

地場資本の朝日炭鉱が操業していました。

岩見沢市によって万字線記念公園として整備されており、駅舎も当時の姿のままで残されています。駅舎内への立ち入りはできないようです。踏み切りの向こうにあるのは、SL9600型の動輪らしいです。2000（平成12）年には小樽築港機関区で活躍した戦時設計の入換用小型蒸機 B20 1 が、ホームに上屋を作って保存されました。